「闇の子供たち」から学んだこと あらすじ・ネタバレ無し感想

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今回は、初の試みとなる書籍紹介です。
初回の今回は、梁 石日さん作・「闇の子供たち」を紹介します。

この本は、こんな人に向いています!
  • タイの人身売買問題に興味がある人
  • NGOや青年海外協力隊など、海外向けボランティアに興味がある人
  • 子どもがいる人
  • 多少の非情なグロ描写に耐えられる人

上記2つの内1つ、または両方に当てはまる方には、特におすすめします。
上記に関することがかなり具体的に書かれているため、必ずためになります。

”多少の非情なグロ描写”というのは、子どもがレイプされる様子や、過量のホルモン剤投与で子どもが爆発して死ぬようなレベルの描写です。
実写映画は、PG12指定。

「闇の子供たち」の基本情報

「闇の子供たち」基本情報
  • 作者:梁石日
  • 2002年 単行本発売
  • 2004年 文庫版発売(478ページ・幻冬舎)
  • 2008年 映画化(主演:江口洋介)

単行本発売→映画化までのフローがかなり早いです。
当時相当話題になったのでしょう。

著者は在日朝鮮人であるためか、若干の反日描写あり。

ジャンルはフィクションとされていますが、限りなくノンフィクションに近い内容です。

私は単行本で読んだのですが、かなり厚く、内容が重めなのもあって、読むのに一週間かかりました。
私はノンフィクション作品に触れるのがほぼ初めてだったのでそれくらいかかりましたが、慣れている方ならもう少し早く読めると思います。

「闇の子供たち」のあらすじ

大まかに分けると前半はタイの人身売買の話、後半は映画の主題にもなった日本人の子どもがタイで臓器移植を受ける話です。

前半はがっつりグロ描写、後半はほぼないので、映画の主題の部分だけみたい方や、グロ描写が苦手な方は、後半だけ読むと良いでしょう。

ここで、あらすじとして本書からある文を引用します。
NGO(※)の音羽恵子が、タイで子どもに臓器移植を受けさせようとしている梶原みねこに向けて書いた手紙の中の一部です。

平和な日本にいると、タイは遠い国です。そこで何が起きているのか知る由もありません。もちろんタイやフィリピンやインドネシア、その他の貧しい国々の人びとも日本人と同じように日常生活を営んでいますし、世界各地から観光客が訪れます。美しい風景や、素晴らしい文化や、その国特有の美味な料理もあります。わたしたちは等しく、それらの文化を共有していると思います。けれども、その陰で、幼児売買春、幼児売買、幼児臓器売買が行われているのです。それらは見えないのではなく、見ようとしない私たちの無関心によって問題が日々拡大し、深刻な状態になっています。

闇の子供たち

本作は、この文がいうように、のほほんと生きて平和ボケしている日本人に、世界のどこかで起きている残酷な真実を突き付ける作品です。

※NGO:非政府組織。外務省から支援を得て、世界で貧困や環境問題などに取り組む団体。現在は400以上あると言われている。ここでは、タイの国際支援センターを指す。

「闇の子供たち」を読んだ感想(ネタバレ無し)

衝撃だった。

自分がまだ知らない世界の中で、こんなにも非情で残酷な世界が存在するなんて。

一ページ目を開いた途端、巧みな比喩表現により、私の目の前に、全てが枯渇し、乾き切った大地が広がった。

本作では、タイで行われている児童売春・人身売買・感覚の狂ったペドファイルなどの実態が赤裸々に綴られている。

前半は、読むのが辛くて仕方なかった。

表現がリアルで、あまりにも残酷で、こんな世界があるとも知らず、今までのうのうと生きてきた自分に心底腹が立った。

子どもに対してひどいことをする奴らは、どうして子どもを一人の人間として見られないのか。自分と同じ重さの命を持つ生物として見られないのか。不思議で仕方なかった。

そもそもこの作品のタイトルは、「闇の子供たち」。

私は、子どもを子供と書いたり打ちこんだりするだけで幾度となく心の中にモヤモヤが広がる。

あなたもそうではないだろうか?

そんなワードをタイトルに使うことで、子どもを奴隷として虫ケラ以下の存在と見なす人たちのことを表しているのではないかと思う。

本作の中には何人かの子どもたちのストーリーが実名で描かれている。どれもリアルで感情移入せずにはいられないのだ。名前を出すことでその効果を最大限に引き出している。

特に印象的だったのはヤイルーンの話。

92ページ。やっとここまで読んだと少しの達成感を得たのも束の間、またもさらに非情な、非人道的な言動を行う大人たちにやり場のない怒りを覚え、私はひとりベッドカバーの裾を握りしめるしかなかった。

これが何十万、何百万人といるストリートチルドレンや売られる子どもの内の一人で、同じような人生を辿る子どもが数え切れないほどいるのだ。

なんということだろう…。

「闇の子供たち」について思うこと

わたしは普段、表紙がかわいい小説や、好きな作家さんの本を手に取ることが多い。
この本は真逆だ、表紙は何だか不気味だし、ただの小説ではない。

しかし、今回この本を貸していただいた知り合いには本当に感謝している。
この作品を通して、普通の生活を送れることのありがたさを知り、もっと日々を大切に生きようと思えたから。
そして本作は、表紙が好みでなくても、見たことのない景色を見せてくれて、自身のためになる本があることを教えてくれた。

ありがたいことに、私の生活は、本作の舞台のような場所から物理的にも事実としても遠く離れたものである。

これを読んでいるほとんどの人がそうだろう。

しかし、そんな人にこそ手に取ってほしいのが本作。

これは、まぎれもなくこの地球上で起こっていることで、私たちが目を背けていい問題ではない。
知るべきなのだ。作中に出てくる子供たちと同じ地球上に生きる人間として。

もちろん、これがたかがフィクション、どうせフィクションといって読まない、読んだまま放っておくのはあなたの自由だ。

しかし、これを読んであなたが、私のように、こんな問題を扱っている本があるとブログで広めたり、少しでもNGOやボランティアについて調べたりすることで何かが変わる。

わたしはそう、信じている。

まとめ

いかがでしたか?
読みやすい・読みにくい、もっとこうした方が良いなど、ご意見はぜひコメント欄にお願いします。

日本人には縁がないと思われている人権問題ですが、日本にも人権に自由が利かなくなる時代が来るかもしれません。

他人事と思わず、ぜひ一度本作を読んで、人権問題や命の重さについて考えてみてください。

ご購入は、こちらから⤵

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